こんにちは、広報担当の羽深です。
前回はゆるりと広報の基本の”キ”を語ってみましたが、何か閃きはありましたでしょうか?
少しでもお役に立てたら幸いです。
◎前回の記事▶︎「どうやったら認知って広がるの?」広報担当者が広報の基本の”キ”を語ってみた。
さて、今日は広報における「言い方」をテーマにお話しします。
あえて平たく「言い方」としましたが、つまりは伝えたい情報をテキストで世に発信する際の「ことば選び」のことです。
そこで、言い方をちょっと工夫しただけで展開がわかりやすくガラリと変わった事例をご紹介します。
ものの「凄さ」は、キャッチーに伝える
10数年前、私は靴メーカーの広報・マーケティング部に勤務していました。
ある時、プレスリリースのネタ探しで、社内企画担当に新商品のコンセプトや売りをヒアリングしたのですが「履き心地の良い靴を目指しました!」「とても軽いです!」というコメントしか出てこなかったことがあります。
もはや、靴の履き心地の良さは当たり前。
デザイン先行型の商品を除き、履き心地の良さを目指さない会社は靴屋の風上にも置けません。
そこで表現方法にとても悩みました。
プレスリリースに「履き心地快適な新作登場!」「かる〜い履き心地!」と書いたところで目を引くでしょうか?
良くも悪くも、よほどその企業が時事的に注目されていない限り、目に留まらないでしょう。
メディアの方は毎日膨大なプレスリリースを受け取り、その中からネタとして適したものを記事化していきますので(一般的な流れです)、一番目につくであろうタイトルには、インパクトのあるワードを使いたいものです。
そこでPR会社の担当者と腕組みをして悩みつつ、軽いというなら重さを具体的に表してみようということになり、最終的に「その軽さ、バナナ1本分!(※1本○gで換算)」という、靴とは関連のないワードを用いてタイトルをつけました。

ほどなくして、バナナがまさかの大健闘
プレスリリースを出すや否や、早速テレビ局から連絡が来ました。
当時の有名な関西の情報番組で取り上げられ、有名芸人さんが「バナナ1本分!ほんまや、かるい〜!」と派手に驚いてくれまして、かなりグッジョブな展開に。
そして放送後は、購入希望のお客様からの電話が鳴り止まなかったという、うっかり大成功をおさめてしまったのです。
私が経験したバナナバブル(笑)は17〜8年前の話ですが、いま検索してみたら結構バナナ1本分と謳う靴が複数存在していました。技術的に靴の軽さの限界がそのくらいということでしょうかね。
実は、「数字」を誰でも知ってる物に例えて表現することは広報のよくある技。
東京ドームの個数で敷地面積の広さを、富士山の個数で高さや長さを例えるのはよく知られているかと思います。(あまり数が大きいとわけがわからなくなりますけどね…)
メディアの方々も、ニュース性はもとより、一般の方に響きやすい表現が好きなのですね。
「ノーコメント」がダメな理由

では最後に、もうひとつ。
テキスト表現上の工夫の話ではなく、本当の「言い方」です。
取材を受けている際に、たとえ公表できないことを聞かれたとしても「ノーコメントで」と答えてはいけません。
そのように答えると、記事に「この質問に対し、○○会社の担当者は『ノーコメント』と答えた。」と書かれ、ものすごく感じの悪い雰囲気になってしまいます。
「現在確認中のため、あいにく現時点ではお答えできません」「大変重要なご質問ですが、現時点で公表可能な情報はありません」などと、後日答える姿勢や公表できない理由を述べて誠実さを出すのがベストです。
・・・といった留意点が活かされるよう、「取材される側」になる努力は地道に続けたいですね…!
ではまた、広報のこぼれ話を用意しておきます。お楽しみに!
勉強になります!バナナ1本分の靴、履いてみたいです。
ありがとうございます^^ なんとなく履いてみたくなりますよね!