事務局の三代です。
今回はプロジェクションマッピングの制作における絵コンテ制作において生成系AIは使えるのか、ということを検証してみたのでそちらについてお伝えしたいと思います。
社内で絵コンテの自動生成に興味があるという話が上がったため調査を行いテストをしてみた内容になります。(情報は2025年1月現在のものです。)
まずは試す
最近では毎日のように新しいAIのサービスが登場しています。その中にもちろん絵コンテを作ってくれるサービスもいくつかあるようです。
□ katalist.ai
特徴
映画制作者や広告制作者、コンテンツクリエイター向けに、AIを活用してアイデアを視覚化。スクリプトをアップロードすることで、AIがキャラクターやシーンを分析し、一貫性のある絵コンテを生成。
ダムに関連する案件があったため、試しに以下のようなお題で制作させてみました。
江戸時代に洪水で困った町があり、一人の男が立ち上がりダム建設のために街の人と協力し、ダムを完成させる物語

いろいろな絵コンテ生成サービスがありますが、全てに共通しているのは、それぞれのシーンは独立したプロンプトを持っており、それをいじることでシーンを調整可能ということです。
そしてそのシーンごとのプロンプトを直接自分で書くのか、そこもAIにまとめてお願いするのかで最終品質が変わってくるようです。
Katalistでは登場人物をあらかじめ定義できたり、場所も定義できるようです。
したがって、同じキャラクターが別のシーンでは顔が全く別の人に、、、なんてことにはならないようです。
追加のシーンを挟んだり、画像に少し動きをつけてイメージしやすくしたりとAIならではの機能もついていました。
所感としては、まだまだβ版といった印象でした。
顔の統一性以前に、そもそも顔の描画が破綻している場面が多く、表情など情緒的な表現まで盛り込んだ絵コンテを制作には適さないなと感じました。
□ LXT Studio
特徴
ユーザーの説明やプロンプトに基づいて、詳細な絵コンテを作成。キャラクターやシーンを自動生成し、PDF形式でのエクスポートも可能。
こちらも同じようなお題で絵コンテの作成を指示

こちらのサービスのほうが絵が綺麗でイメージしやすいものが出来上がりました。一方で洪水のシーンばかりで、最後のコマになってもダムが完成したシーンは見当たりませんでした。(指示の出し方が悪かった可能性もありますが。)
このサービスは登場人物の視点でサイドストーリーなども作成可能で、〇〇のシーンの裏では血のにじむ努力があった、みたいなシーンを差し込むときに別の人物に視点を変えてそこだけ差し込むのも面白いなと思いました。
Katalistと同じく画像を映像化することもでき、自動で効果音までつけることができるようです。
(動画化はあくまで画像をただ動かしただけのため破綻もありました。)
そもそも絵コンテってなんでつくるんだっけ?
いきなり初心に戻りますが、そもそも絵コンテはなぜ作るのでしょうか?
視覚的なイメージの共有
- 監督、演出家、カメラマン、アニメーター、デザイナーなど 制作チーム全体でイメージを統一 するため。
- 文章だけでは伝わりにくい構図やカメラワークを 具体的な絵で表現 できる。
構成・流れの確認
- シーンの流れ、カメラアングル、カット割り を事前にチェックできる。
- 撮影やアニメーションを始める前に、ストーリーの矛盾やテンポの問題を修正 できる。
撮影・制作の効率化
- 撮影計画やアニメーションの作業指示書として機能 し、制作の無駄を減らせる。
- シーンごとの構図やカメラの動きを決めることで、撮影や作画の手戻りを防ぐ。
コスト削減
- 事前に問題点を発見できるため、撮影や制作のやり直しが減る。
- 必要なカット数やエフェクトの量を計算し、予算の調整がしやすくなる。
クライアント・スポンサーとの合意形成
- 事前に絵コンテを作成することで、クライアントやプロデューサーに企画を分かりやすく説明 できる。
- 修正の方向性を決めやすく、後々のトラブルを減らせる。
クリエイティブな演出の検討
- 実際に撮影する前に シーンのリズムやカットの繋がりをチェック し、作品の完成度を上げられる。
- 構図やカメラワークを事前に試し、より効果的な演出を探る ことができる。
AIに聞いてみたところ上記のように羅列してくれましたが、全部正解かと思います。
しかし逆にこの中で絵コンテじゃないとできないことはいくつあるでしょうか?
もっとわかりやすく言えば、ラフスケッチのような絵コンテではなく、完成イメージにほど近いアウトプットでもよいのでは?という問いです。(制作スタッフの人間相手にはできないお願いですね笑)
AIからすると絵コンテのようなラフスケッチのような出力と、可能な限りクオリティの高い、高解像度で精細な画というのはさほど出力するのに時間やコスト面で差がない場合が多いです。
この場合、そもそも絵コンテではなく、いきなりビデオコンテから作ったほうが良い可能性すらありそうです。
クオリティの高い画像を出力させるには、プロンプトを細かく指定する必要があり、それに労力がかかるじゃないかと思った方もいるかも知れません。
しかし絵コンテを絵コンテとして成立させるためにAIに対して細かくシーンの説明をする必要があるという点では、同じような労力が必要であり、であればその時間をより最終イメージに近い画像の生成に使ったほうがよいのでは?と感じました。
つまり、人間が最終イメージを作るのには時間がかかるため、まずは絵コンテから、作成をする、といった人間の制作フローを、AIに踏襲させることが必ずしも正解かどうかといった新たな問いが生まれました。
これは今後AIの導入と銘打って、いろいろ試す会社が増えると思われますが、人間のフローをAIに任せる(代替する)考え方が必ずしも正解でない可能性を示しています。AI独自の制作方法を新しく定義する必要がありそうですね。
結論
そもそもプロジェクションマッピングにおいてこれらの絵コンテ生成サービスは制作現場の労力削減として使えるのか、というのが今回のテーマですが、その文脈に置いての結論を書きたいと思います。
まだまだ使えないし、おそらく今後も使えない可能性が高い。
この結論がわかった時点でこの記事を作成する理由がなくなってしまうのですが、この思考過程を同じように辿っていただくことで、新たなひらめきに繋がればと思いまして書かせていただいております。
以下上記結論に至った理由を解説させていただきます。
プロジェクションマッピングというのは、映像制作現場からすると少し特殊で、常にカメラが固定されており、またアスペクト比も現場により様々です。
そもそもきれいな四角でない場合のほうが多いです。
建物に合わせた形、制約を逆に使いこなして表現するのがプロジェクションマッピングの醍醐味と言えます。
一方で絵コンテ制作サービスにおいては、基本的に16:9のテレビ画面に合わせた短編映画を作る、といった大きなフレームワークの中での制作に特化されており、それ以外のケースでの制作になると途端にAI側が概念を理解できなくなるといった印象を受けました。
映像制作現場の大半が、きれいな四角の中で決まったアスペクト比で、カメラワークも自由で、といった条件であることを考えると、ほとんどのサービスはそれに特化されて作り込まれることは容易に想像がつきます。
建物のベース(テンプレファイル)を画像ファイルで用意して、この窓からこのキャラクターが顔をのぞかせる、といった投影面の制約を前提とした絵コンテ制作は、AIがその概念を理解できないためまだ実務で使うには厳しいというのが正直な感想でした。
2025年1月現在でも、AIで制作されたプロジェクションマッピングが、「AIで制作された」と分かる理由も、AI生成された画が2D的な表現に終始してしまっていたり、コヒーレンスが低い(各フレーム事に連続性が乏しく、ボワボワした映像になること)が原因だと感じています。(コヒーレンスが低い問題については解決できるサービスもちらほら出てきています。)
これらの原因は、空間の制限の前提をAIと共有できていないために発生している表現の制約だと感じています。
この空間の制限や制約をAIと共有できると、絵コンテにとどまらず最終品質に近いものを用意しながら、クライアントとの共有やクリエイター同士のイメージ共有に使えるようになると感じております。
記事作成 三代










たしかに、イメージの共有が目的なら絵コンテに縛られる必要は無いですね!今後もAI情報楽しみにしています!