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「ゴースト ―見えないものが見えるとき―」【アーツ前橋】

皆さんこんにちは。プロジェクションマッピング協会の北本です。

今回は、群馬・前橋市にある美術館 アーツ前橋 で開催中の企画展 「ゴースト ―見えないものが見えるとき―」 を観てきました。

本展は、現代アートを中心に、絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーション、インタラクティブアートなど、さまざまな表現による作品が展示されています。

奇妙さや不思議さを感じさせる作品が多く、全体としてトーンの統一された展覧会構成になっている印象でした。

この展覧会の中で、特に印象に残った作品をいくつか挙げます。

👁️トニー・アウスラー「Eyes」

個人的に、今回もっとも強く印象に残ったのがトニー・アウスラーの《Eyes》です。

空間内に設置された大小さまざまな9つの球体に、目の映像がプロジェクションされた作品です。

それぞれ異なる目の映像が映し出されており、「どんな場面の目なのだろう」「どんな表情をしているのだろう」と、自然と想像が膨らみました。

普通、目がたくさん集まっていると少し気持ち悪さを感じそうなものですが、不思議とずっと見ていられる作品でした。

球体に“目”を投影するというアイディア自体も、とてもよくできていると感じます。

👤松井冬子《ややかるい圧痕は交錯して網状を走る》

松井冬子さんは、学生時代にドキュメンタリー番組で作品を見たことがあり、いつか実物を観てみたいと思っていた画家のひとりです。

不気味で、どこか痛々しさを感じさせる日本画を描かれる作家という印象があります。

この作品も、一見すると女性がぽつんと描かれているように見えますが、よく鑑賞すると、身体にまとわりついているものが臓器であることに気づきます。

女性を象徴的に描いた作品が多い作家でもあり、女性という存在に対する何かしらの強いメッセージを感じるものが多いです。

鑑賞後も記憶に残り続ける作品でした。

🥏新平誠洙《Phantom Paint》シリーズ

本作は、AIのディープラーニングの一手法である「敵対的生成ネットワーク(GAN)」を用いて制作されたシリーズです。

ぱっと見た印象では肖像画が描かれているように思えますが、像が歪んでいることで、この世に存在しない幽霊のような存在にも見えてきます。

既存の複数の肖像画から新たな肖像画を生成するプロセスを、あえて初期段階で止めて制作されている点も興味深いところでした。

生成の過程を映像化した作品も展示されており、イメージが立ち上がる途中段階そのものが作品になっている点も印象に残りました。

👤クリスチャン・ボルタンスキー《影》

この作品では、吊り下げられている物体そのものではなく、壁に映し出された「影」が作品として展示されています。

影を主役に据えるというアイディアに惹かれ、印象に残った作品のひとつです。

ゴーストのような形状の物体を吊るし、ライトを当て、扇風機で揺らすという非常にシンプルな仕組みで構成されています。

ゴーストを題材にしていながら、どこか可愛らしさも感じられ、思わず見入ってしまいました。

🟦諏訪敦《Mimesis》

諏訪敦さんの作品は今回初めて拝見しましたが、この作品は一目見て「好きだな」と感じました。

特に構図の美しさが印象的でした。

写実的な表現と、わずかにずれた表現が組み合わさっており、現代社会におけるAI的な存在を思わせる部分もあります。

コンテンポラリーダンスを踊る人物を題材としている点にも惹かれました。

🎨展示を通して

今回の展示は、「ゴースト」というテーマをきっかけに、さまざまな表現や考え方に触れることができる内容でした。

作品ごとに受け取り方が変わり、鑑賞しながら自然と自分なりに考える時間が生まれる展示だったように思います。

展示全体として説明が多すぎることもなく、作品や空間と向き合いながら、それぞれのペースで観られる構成だったのも印象的でした。

今回の視察を通して、普段の制作ではあまり意識していなかった視点や表現にも触れることができ、良いインプットの機会になりました。

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