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それ、AI Slopじゃないですか?——AI駆動開発で「何でも作れる」ようになった人へ

こんにちは、三代です。

AI駆動開発にある程度慣れてくると、「もう何でも作れるな」という感覚がやってきます。思いついたその夜に、動くものが手元にある。この全能感は本物ですし、私にもあります。ただ、最近ひとつ引っかかっていることがあります。その「何でも」で作ったもの、本当に使われているでしょうか。

ありとあらゆるものがAIとつながり、さまざまな操作を自動化できる時代に入りました。普段使っているツールを、AIを通して使うようになった人も多いはずです。会計ソフトなら「freee」や「マネーフォワード」がすでにAIとのコネクターに対応していて、AIにお願いするだけで経理処理が終わります。

この時代に、あなたが「便利な会計ツールを作ろう」と思い立ったとしましょう。完成したそのツールは、果たして使われるのでしょうか。

作っている間は、使われるに違いないと思っているものです。ところが完成してみると「意外と使わないな」となる。そうなった瞬間、そのプロダクトには名前がつきます。AI Slop——AIが生み出したゴミ、です。

AI Slop(AIスロップ)とは、生成AIを使って手間をかけずに作られた、中身のない低品質な文章・画像・プロダクトのことです。いまネット上に大量にあふれていて、問題になっています。海外では「AI Slopをやめろ」という動きが強まり、議論は「では本質的に何を作るべきなのか」という一点に集まりつつあります。ちょっとした動画編集やスライド生成など、AIでできることは確実に増えました。増えたぶん、手法ばかりに注目が集まって、「それで何を伝えたいのか」が抜け落ちたものも量産されています。

この手の話は、抽象論のまま終わりがちです。なので、一気に具体まで下ります。

  • GUIは捨てるべきです。誰も触らなくなるからです。
  • LPは凝るべきではないです。見るのはAIだからです。
  • SEOはオワコンになります。検索エンジンで検索しなくなるからです。

某映画のような感じで並べてみましたが、どれも私の肌感として本気で思っていることです。ひとつずつ見ていきましょう。

GUIは捨てるべきです

GUI(Graphical User Interface)は、人間がシステムを触りやすくするために作られたものです。SaaSの価値も、突き詰めればここにありました。データベースを操作するためのユーザーインターフェースとしてGUIが用意されている——それがSaaSの本質的な部分で、つまりGUIこそが価値だったわけです。

その前提が、いま崩れています。

マネーフォワードやfreeeがAIに対応したことで、データベースに保存された会計情報は、ブラウザからわざわざアクセスしなくても、AIから直接読み書きできるようになってしまいました。ちょっとした経費の登録。いまの会社の資金繰り。使いこなしている人は、もうAIに聞いて済ませているはずです。ログインして、何回かクリックして、特定のページに遷移して——というフローは、おそらくもう踏んでいません。まだ踏んでいる人がいても、遅かれ早かれやめます。大半の人は、一度便利さを知ると、わざわざ面倒くさいことをしなくなるからです。

これからは、一人が最低ひとつ以上のエージェント——つまり秘書のようなものを持つ時代になります。チャットで秘書に「〇〇の会計を確認して、〇〇の経費精算をしといて」とお願いすると、自動でやってくれる。それが当たり前になります。これは間違いなく来ます。

そうなったとき、綺麗なWebデザイン、綺麗なGUIを作り込むことにフォーカスしていたら、そこで積み上げた知識はおそらく陳腐化します。本質的に便利なもの、本質的に有用なものを作るなら、UIはいったん置いておいてもいいかもしれません。

ここまでの話を「UI/UXはもう何も気にしなくていい」と読まれると、それは違います。一目見たときにどう操作すればいいか分かる——認知負荷を下げること自体は、今後も変わらず重要です。そのツールを最後に使うのは、人間だからです。捨てるのは、ボタンを角丸にするとかカード型デザインを捨てるとかの「画面を綺麗に作り込むこと」であって、「分かりやすさ」ではありません。

LPはそこまで凝るべきではないです

LPの話も、構図は同じです。2026年のいま、何かを調べるときにGoogle検索をしている人が、どれだけいるでしょうか。

いまはChatGPTをはじめ、AIが検索ワードの洗い出しから並列検索までやってくれる時代です。キーワードをひとつずつ自分で考えながら検索している人は、ほとんどいないと思います。Google検索の頻度が減るということは、Webサイトをクリックして「どんなサイトか」を見に行くのが、人間ではなくAIになるということです。

そしてAIは、デザインの綺麗さでは判断しません。ユーザーが、本質的に求めていることは何か、このサイトはそれにマッチするか。その基準で、ユーザーに検索結果を返します。だとすれば大事なのは、llm.txtのようなファイルを置いて、AIエージェントに読みやすい情報を提供しておくことです。

デザインのアップデートにトークンを使う前に、llm.txtの整備をやりましょう。

SEOはオワコンになります

SEOも理由は同じです。人間が検索エンジンを使わず、AIに検索させるようになるからです。これからの時代に考えるべきは、「検索結果で上位に出るには」ではなく、「AIに引用されやすくなるには」です。

ChatGPT広告のサービスも始まりました。ライバルが少ないうちに参入してみるのも良いかもしれません。

最後に、一番大事なこと

車輪の再発明をやめましょう。

すでに世の中にあるものをゼロから発明し直すのは、無駄です。開発の現場では、「いいアイデアだ」と思って作り始めたものの、検索してみたらすでに似たプロダクトが存在していた、ということが往々にしてあります。

見つけたプロダクトがソースコードが公開されていないものなら、自分で再開発することでカスタマイズできるため、やる価値はあるかもしれません。しかし世の中にはオープンソース化されたものが大量にあって、自分が実装したいこと、成し遂げたいことが、すでにオープンソースで実現できてしまっていることも少なくありません。その場合はライセンスを確認し、Apache 2.0のような商用利用可能なライセンスであれば、積極的にそれらを使ってその先の開発を進めるべきです。すでにあるものを同じように作っても、それは二番煎じでしかありません。代替劣化版コピーになるためやめましょう。(劣化版コピーにならないケースは、具体的なペインをあなた自身が感じている状態で、どれだけ検索しても解決策が見つからず、作るしか無いという状態です。検索して、お!見つけた!と思ったのならそれは調査不足による劣化版コピーの生成をギリギリで防げた状態だと思ってください。)

だから、AIを使って何かを開発するときには、「車輪の再発明をしないこと」を、前提としてAIに強く伝えることをお勧めします。具体的に車輪の再発明をやめるとは、既存のオープンソースを検索することと同義です。着手する前に、次の2つをやってください。

  • 実現したいことがすでに達成されたものが無いかGitHubで検索をかける
  • 同じ思想で開発している開発者が、フォーラム等で情報発信していないか調べる

これだけで、「作らなくていいもの」をかなりの精度で弾けます。

おわりに

あなたが今から作る「便利な会計ツール」は、たぶん使われません。あなたの腕の問題ではありません。「作れるもの」と「求められているもの」の間には大きなギャップがあります。

「何でも作れる」は、本当です。だからこそ、これからは「何を作らないか」がそのまま実力になります。GUIの作り込みをやめる。LPを盛るのをやめる。SEOを追うのをやめる。車輪の再発明をやめる。そうして浮いた時間と頭を、まだ誰も解いていない問題——本質的な部分に注ぎ込む。AIに任せられることはすべて任せて、頭を使うべきところでちゃんと頭を使う。AI Slopを避ける方法は、結局これしかないと思います。

さて、あなたがいま作っているそれは、どちらでしょうか。

AI関連のコンテンツ開発をメインで行っています。最新ツールは基本的に何でも触るようにしています。

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