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【イベントレポート】Interop Tokyo 2026 ——AIとデジタルサイネージが変える「体験」の未来

こんにちは!プロジェクションマッピング協会インターン生の藤波かんなです。

6月12日、幕張メッセで開催されたインターネット技術の総合イベント「Interop Tokyo 2026」および「AI NATIVE EXPO 2026」に、インターンとして参加してきました。

今回は、当社の三代さんがパナソニックコネクト株式会社の阿部さんらとともにブースに登壇。「デジタルサイネージ × AI活用」をテーマにしたセッションを聴講しましたので、その内容をレポートします。


デジタルサイネージ、実は「見られていない」問題

セッションは、まず業界の正直な課題認識からスタートしました。

皆さんもご存知の通り、AIはすでに業務効率化ツールとして広く普及し始めています。しかし、体験型エンタメへの利用はまだほとんど実現できていません。

一方でデジタルサイネージ(デジタル表示媒体)は、街中にあふれすぎた結果、もはや誰も意識して見ていない状態になっています。駅や商業施設のデジタル広告が視野に入っても、脳が「またいつものやつ」と処理してスルーしてしまう、あの感覚です。

では、どうすれば人々の注目を取り戻せるのか。そこで提示されたキーワードが、自分ごと化でした。


「自分ごと化」とは何か——体験型サイネージへの転換

自分ごと化とは、コンテンツの中に観客自身が入り込む体験を設計することです。

具体的には、AIを使用し、ユーザーの顔画像からその場でユーザーに似たアバターを生成し、画像をリアルタイムで作り出すという手法。

例えば、新商品の広告に対し、この手法を使用する。この場合、顧客に似たアバターに新商品を持たせた画像を生成するといったキャンペーンを打ち出す。すると、広告を体験した顧客は「擬似的に一度手にした商品」として脳が認識することで、実際に店舗で見かけたときの心理的な親近感が高まり、購買につながりやすくなるといいます。

また、大切なのはコンテンツを作って終わりにしないこと。「SNSにアップしたら次のラベルデザインにあなたの写真が使われるかも」という仕掛けを例に、顧客自身が「SNSに投稿したい」のではなく「ラベルに選ばれたい」という目的を持ってコンテンツを生成し始める——そういった行動の目的化こそが、エンゲージメントを生む鍵だと語られていました。


道頓堀の実証実験で「申込意向50%超」の衝撃

セッションの中で特に印象的だったのが、JTB・パナソニックコネクト・当社の3社による実証実験の話です。

道頓堀に設置した360度スクリーンで旅行先の映像を体感してもらい、映像の最後に体験者本人に似たアバターがその旅行先で楽しむ画像をAIがリアルタイム生成して表示する、というコンテンツです。

体験後のアンケートでは、5割以上の体験者が「現地に行けるJTBツアーに申し込みたい」と回答。「自分があの場所にいる」というイメージが、旅への意欲を直接引き出した結果だと思います。


「不完全さ」をあえて設計する——クリエイターのAI哲学

三代さんが語っていた中で、個人的に最も刺さったのがこの考え方でした。

AIを使ったコンテンツ生成において、全ての出力を細かく制御・指示しきらないこと。AIに任せる部分を意図的に残すことで、毎回異なる「意外な結果」が生まれ、それがエンタメになる。一発で完璧な画像が出ないからこそ「もう一回やってみたい」という気持ちを生む——という設計思想です。

「AIのコーディング精度でプロフェッショナルに勝とうとするのではなく、クリエイターだからこそ持てるクリエイティビティと遊び心を載せることが、自分たちの存在意義だ」という言葉は、AI時代のクリエイターとしての明確な答えのひとつだと感じました。

実際の事例としてShort Shorts Film Festival & Asiaへの出展も紹介されました。ユーザー自身の写真やアイデアを使って映画の広告映像をリアルタイムで生成するコンテンツで、まさにこの哲学を体現したものでした。


応用編:商業利用のための実践的ノウハウ

セッションの後半(応用編)では、より実務的な話が展開されました。

リアルタイム生成を商業イベントで使う際のポイントとして、「100点の出力を目指さず、70〜80点を安定して出すことを目標にする」「プロンプトは短くシンプルに、細かい表現はAIに委ねる」「参照画像は最小限にし、なるべくテキスト指示で対応する」といった具体的な指針が共有されました。一方で、商品やブランドロゴなど「絶対に崩してはいけない要素」は画像とテキストの両方で二重にロックする、というメリハリも重要とのこと。

パナソニックコネクトからは、AIの不安定さを前提とした運用設計の話もありました。「生成リトライ→別リージョンへ切替→別モデルへ切替」という3段階のフォールバックを用意しておくこと、AIが止まったときのために事前生成コンテンツを即座に再生できるよう準備しておくこと——こうした備えがあってこそ、商業利用が成立するのだと実感しました。


大規模展示会だからこそ得られる刺激

会場内の他ブースでは——AIビジネス関連だけでなく、新世代のデジタルサイネージプロダクトや最新のネットワーク・インフラ技術など、大規模な展示会ならではの幅広い刺激を受けることができました。書籍やニュースで情報を追うのとは違い、実際に触れて、担当者の話を聞いて、来場者の反応を見る。その「現場感」は、参加してみないと得られないものだと改めて感じました。


おわりに

今回のセッションを通じて、「AI × デジタルサイネージ」の可能性が、効率化という次元をはるかに超えたところにあることを実感しました。体験を個人に紐づけ、感情を動かし、行動を生む——そのための設計思想と技術が、すでにここまで進んでいることに驚きを感じます。

プロジェクションマッピングをはじめとする体験型コンテンツの分野においても、「自分ごと化」「リアルタイム生成」というキーワードは直接応用できる視点です。今回得た知見を、当社の制作現場にも積極的に活かしていきたいと思います。

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